警察小説の旗手、横山秀夫による警察ミステリ小説「震度0」を読んでみました。
超面白かった。阪神大震災が起こった日の朝、県警中枢の警務課長が失踪する。震災の報道と、県警幹部たちによる捜索が交互に描かれるという話です。
まず、警察を書かせたらこの人の右に出るものはいないんじゃないだろうかという細部にわたる描写が面白い。地方の県警というハタから見ると地味そうな組織内部をドラマティックに描いています。
特に、キャリアとノンキャリア、準キャリアの立場の違いと確執は読んでてすごい面白かった。特に警察幹部の保身、権謀術数の描写が凄まじい。
ちょっとネタバレになるのですが、最後結局阪神大震災とこの事件は全然関係ないというオチなんですが、ほんと警察幹部は公僕なんて意識はみじんもなく、国民の命とか財産とかよりも自分たちの利益・保身が大事。っていうかそれしか考えてないという痛烈な批判が読んでて笑えました。
最後の冬木が爆発するシーンは人間ドラマとして非常に面白いんですが、その自己保身っぷりが凄い。涙が出るほど呆れる。
☆☆☆☆☆(役人や警察の話が好きな人向け)