「ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて」

 著者がハーバードビジネススクール(HBS)に留学していた時に書いてたブログを本にまとめたもの。いわゆるブログ本。

 内容は、HBS留学マニュアル的な話はあまりなく、授業や仲間に対しての思いや、金融や起業、キャリア観と言った話がメインで、ブログの”日ごと”という形式を崩して、内容別に章立てがなされています。

 文章は読みやすく、お話も面白くて興味深いものが多いのですが、ブログをリアルタイムで読んでいたときに比べると、どうしても若干トーンダウンしてしまいます。

 というのも、ブログだと硬軟とりまぜて書かれていた話がきちーんと整理されていて、しかも硬軟の軟の部分がかなり削られているためか、読み終わった後の印象がブログに比べてオカタイなぁという印象です。

 あとやっぱ編集がイマイチです。例えば2006年のVC/PEカンファレンスについての話の後に、いきなり「今日は」という書き出しでVC/PEカンファレンス2005の話が始まったりするところは、違和感がありまくりです。

 読んでいる途中で、「あぁこれはブログだったんだ」という意識を持たないと置いてきぼりを食らってしまう箇所が間々あった気がします。でもまぁこれは書籍とブログというメディアの特性の違い?なのかも知れません。

 しかしながら、個別の話のひとつひとつは非常に面白く、世界最先端の「リーダーシップ論」を垣間見ることができたり、HBSという資本主義エリートさんの集団で、わたしたちと同世代でもある”ガイジン”から見た日本の話などは、興味深く読めました。

 印象に残ったのは、やっぱ最後の「キャリアと人生の送り方」の部分です。万人に”刺さる”すごい文章です。特に、「計画された偶然性」や「ワーク・ライフ・バランス」の話は圧巻で、世の中にはこんな人がいるんだ。こんな考え方があるんだ。これを書いた著者はどんなひとなんだろう。という風に感じたブログ読者だったときのことを思い出しました。