「遺体―震災、津波の果てに」

震災による死を「遺体」という視点から描いたルポルタージュ「遺体―震災、津波の果てに」を読んでみました。
とても読み応えのある本でした。
震災から数日で増え続ける遺体に対して、遺体管理者、歯科医師、僧侶、行政職員などの視点から、当時どんなことが起こって、どんな気持ちになったのかを、克明に描いていました。
これはテレビや写真ではなかなか難しい、遺体が数百体並んでいて、それがどんどん増え、腐敗していく様子というのは、活字でしか表現できないのではないかと思いました。それぐらい強烈な描写になっています。マスコミのあのセンセーショナルな震災報道の対局にある、ルポ。
人は遺体に寄り添い、お経をあげ、お供えをすることで落ち着く。そして火葬にしたい(土葬はやだ)と思うのは、日本の宗教観の根底にあるんだなぁと不思議な感じでした。
とても良い本だと思いましたが、読んでるのは辛いことが多かったです。
☆☆☆☆☆