「田茂神家の一族」

劇団東京ヴォードヴィルショー 第70回公演『田茂神家の一族』
http://www.vaudeville-show.com/70/

三谷幸喜の新作芝居「田茂神家の一族」を見てきました。
面白かった。
選挙という元々喜劇じみたイベントをテーマにしたもので、選挙の下らない部分を丁寧に笑いに変えていく。
ただ、予想以上の展開にはならず、だいたい予想通りの展開で、もうちょっと予想外の展開が欲しかった。
全員が田茂神姓の一族が戦う選挙なんだが、どっかで見たことあると思ったら、鈴木姓の登場人物しか出てこない大河芝居、劇団カムカムミニキーナの「鈴木の大地」みたいだなぁ、、、と思った。

私が初めて劇場で観た三谷芝居が、1996年に上演された東京ヴォードヴィルショーの「アパッチ砦の攻防」だった。チケット代は3,800円。今回のチケット代7,000円の約半分だ。
当時、三谷幸喜は売れっ子になって「笑の大学」「巌流島」「アパッチ砦の攻防」の三本を立て続けに上演するという荒技で話題になり、巌流島の脚本が遅れて主演の陣内孝則が降板した。その中で書かれたアパッチは、学生だった私にとって唯一見に行ける値段の芝居だった。凄く面白くて大笑いした覚えがある。
他の2本もあとでテレビ放映で見たが、とても面白く、三谷幸喜の凄さに圧倒された三本立てだった。。。
それに比べると今回の作品は割と「普通の作品」だった。
佐藤B作さんがリクエストした「人間のエゴやズルさを肯定する形での人間賛歌喜劇」として楽しめる作品ではあるが、個人的には、アパッチ初演のような予想を裏切る大笑いできる作品が見たかった。