「文章のみがき方」

文章のみがき方 (岩波新書)
辰濃 和男
岩波書店
売り上げランキング: 8880

天声人語の中の人が書いた続・文章読本

前著の「文章の書き方」はこの本を読むための枕として読んだのですが、こちらの方がずっと良かったと思います。というのも、前著はなんか気持ち読みにくかったのですが、この本は平易でだいぶ読みやすかったからです。

ただやはりどちらかという文章読本というよりかはエッセイ風なので、これを読んで文章の書き方をお勉強というよりかは、著者が思う「名文」がつらつらと紹介されてたという印象です。

ところで先日、ニコ部の方で、ニコニコ動画アイドルマスター動画、通称ニコマスのレビューを書いたのですが、その時に私が考えていた「レビューする側の立ち位置」というのによく似た「文章批評に関する文章」が書いてあったので、引用してみます。

常に、正しく評価することを考えましょう。相手をひたすら非難したいがための悪口を重ねるとか、相手の長所を見ず、ただただ攻撃するためにアラを探すとか、逆に、無条件にほめてほめてほめまくるとか、そういうことではなくて、その文章の特徴を正確にとらえる努力をする。書いた人のこころのありようにまで入ってゆく。そういう態度が大切です。
小林秀雄の言葉に「正しく評価するとは、その在るがままの性質を、積極的に肯定する事であり、そのためには、対象の他のものとは違ふ特質を明瞭化しなければならず、また、そのためには、分析あるひは限定といふ手段は必至のものだ」というのがあります。書かれた内容を積極的に肯定し、評価すること、そういう読み方をすれば、書き手のこころが少しは見えてくるのではないでしょうか。

私はニコマスレビューを書いたときに「もっと判りやすくした方がいい」とよく書いたのですが、それは私が書くニコマスレビューの文章についてもあてはまります。そもそもそう言ってるレビューの文章が理解しづらかったら世話ないよな、とか思いながら書いてました。

☆☆☆★★