「世界の中心で、愛をさけぶ」

 原作の小説版の方をいい感じで忘れてたので意外と楽しめました。

 原作に比べたら、長澤まさみが可愛いので、その分、楽しめた気がする。が、やっぱり大した感動はない。絵の綺麗さなら岩井俊二の方が優れてる(つっても撮影は同じ故・篠田昇だが)し、本の面白さなら『いま、会いにゆきます』の方が断然しっかりしてる。

 更に言うと、話自体はすごくオーソドックスで、普通の若い男の子と女の子の恋愛+白血病による別離という超王道だ。で、こういう王道ものって、普通は王道なものをきちんと作るのが最低ラインで、更にそのプラスアルファで新しいところを見せることができて初めて、傑作が誕生する。プラスアルファというのは、たとえば現代的な社会問題だったり、新しい性癖だったり、いろいろだ。

 で、セカチューは王道の部分はちゃんと作れていて良いんだが、プラスアルファの部分がない。だから感想は「いい話だった。でもそれだけで終わってる」というものにならざるを得ない。悪い言い方をすれば、ただの古典の焼き直しだ。

 なぜだ。これが売れる原因がわからん。悔しい。少なくとも300万人が感動しているものを楽しめないんだから、悔しくてしょうがない。オレも仲間に入れてくれ。これがそこそこの評判だったら、こんなに食い下がらないですよ。フツーにいい話ですから。。。でも、こんな話、いくらでもあるだろう? なんでこれが売れるんだ。どこに300万部売れる要素があるんだ。。。わからん。

 しかも、オレが原作で一番気に入ってるシーンがない。たしか、神社でアキが「キスでもしませんか」って言うシーン。あんないいシーンカットすんなよ(笑)。

 でも、主題歌はやっぱすごい威力があると思います。こう、ここで泣け!みたいな(苦笑)。あと、べつに大沢たかおが悪いわけではないんだが、どうも『花とアリス』の広末涼子とペアでやってた、チャラいカメラマン役のイメージが強くて、こういう純朴な役よりあっちの方が合ってる気が。

 なんか、相変わらず支離滅裂だな(苦笑)。